新シルクロード「カラホト 砂に消えた西夏」

 今回は西夏王国の今昔。今その土地にはモンゴル族が住んでいる。かつて地上の楽園と呼ばれていた土地も、今や砂漠化している。かつて西夏を滅ぼしたのも砂漠化なのだ。人民政府は砂漠化を防ぐために、住んでいる遊牧民を立ち退かせて、土地を国立公園に指定しようとしている。移住は順調に進み、もう土地に残っているのはわずか。
 しかし立ち退いた先に待っているのは、家畜を手放した都市への定住。いまだ移住を拒否している人は云う。


「砂漠化を防ぐため」と人は云うが
それは俺たちの生きる望みを絶つことなのだ

 この人の家族は都市への定住をいさぎよしとせず、ある日姿を消した。北の国境へ向かう姿を見た人がいるという。
 現在土地では、日中共同の砂漠化防止プロジェクトが進行している。

 湿潤な地域に住んでいる我々には、砂漠でない土地柄を保つことこそが無条件の正義という気がしているけれど、住んでいる当事者にはそうではない――むつかしいね。