SAMURAI7 第十七話「刈る!」

 ひとまず野伏せりの脅威は神無村より去った。収穫のときを迎える村で、侍たちにひとときの安息が訪れる。しかし水面下でうごめく新たなる影。虹雅渓へ単身向かったカンベエ、そして新たに虹雅渓差配職についたウキョウの真意は?
 というわけで今回はこれまでの総括篇。

  • 「いぐら前は農民つっても、その身体、戦さするための身体だ、稲刈りするようにはできてねえだよ」……むむう、おシノさんシビアだ。まあ農民の立場からすると、キクチヨみたいな素人(機械の体になってからはたぶんはじめての経験だから素人マニューバでしょう)が酔狂でてれてれ作業まがいに時間を取るなんぞ迷惑だし、さっさと刈り入れて干しにかからないと困るからな。農業はずぶの素人がぽっと出で使い物になる世界じゃないんだよ。*1
  • 「なあ、侍ってなんだ?」「鏡を見なさい、侍が映りますよ」……ヘイハチ殿が先日来どんどんかっこよくなってないか。しかし私にはこの話で成長譚を担当しているのはキクチヨに見えます。オフィシャルではカツシロウの成長譚ということになってるけれど。
  • カンベエ殿が村を出奔したのは、野伏せりの問題にけりをつけるため。ということは商人対策に行ったのか。
  • 幾時代かがありまして、茶色い戦争ありました……キララ殿の口からこの世界のバックグラウンドが語られる。ただこれは彼女が本から得た知識なので、そこらへんで情報に偏りや抜けがあるかもしれないな。
    • 大戦は数世代にわたって続いていた。
    • 機械化侍は偉くなるにつれて巨大化していった。だから雷電・紅蜘蛛級の人はエライ人。しかしエライ人といっても前線に立ちっぱなしなので、あくまでも現場トップということなのか。
    • でも生身のお侍も機械化侍と同じくらいいた、んだよね?
    • 商人は大戦期、侍に仕えて工廠や兵站部を担当していたが、そのうち力をつけて経済を抑え、「時代を買って」戦さを納めた。ということはお侍の軍には後方支援業務を行なう兵科というか部門がなかったということ?
  • ところでカツシロウは式杜人の洞窟あたりのシーンと比べるとだいぶ肚が据わってきたですね。ちょっと今後が楽しみかもしれない。いやでもキララ殿とはくっつかない気がするのですが!
  • あとキクチヨ殿はけっこうカンベエ殿に精神的に依存している面があるな。たぶんおっさまがキクチヨの侍人生で出会った中で、いちばんクオリティの高かったお侍だからだと思っているのですが。
  • キュウゾウ殿はやっぱりカンベエ殿を追っていってしまった。まあキュウゾウ殿がついていってるなら、カンベエ殿も少々無茶しても平気だろう。とりあえず今回の件が片付くまでは。でも、ことが全部片付くまで待たなけりゃならないような約束をする必要がある性格(体質?)ってのは損だな。待たされてばっかり。死狂い人生も大変だ。
  • ところで今回、回想でないところでも、ところどころ七話みたいな絵になってなかったか。あの「まんが日本昔話」みたいなタッチは実は結構好きなんでいいですが。
  • 今回回想シーンでまとめて見たら、この作品は結構作画の画風が一定してないなあ。まあこれまで気づいていなかったくらいだから今後も大して気にならないと思う。
  • さて一方虹雅渓では、若様が何事かをたくらんでいるようす。

 以下ネタバレなので、隠し。

  • アヤマロ様は御勅使殿暗殺の責任を問われて虹雅渓差配職を解任。後任人事は息子のウキョウに。と聞いた瞬間「ああ、こりゃあアヤマロ様死を賜ったな」と反射的に考えたのですが、予告編では元気そうですねアヤマロ様。よかったよかった。
  • これで用心棒がいなくなった件は当分露見する心配はなくなりましたな。
  • ……で、勅使殺害の下手人は誰なんだ結局。いつ判明するのだ。するのか?
  • 街路でとぐろを巻いていたお侍を吸収していたのは、地下の蓄電筒工場。いやあれは侍狩りの犠牲者たちなのかな。しかして彼らは今や野に放たれる。
  • テッサイ殿不憫だなあ。あんなガンガンやられちゃあ匕首ぼろぼろですよ。ていうかヒョーゴ殿とか体制側のお侍は大抵不憫な印象がある。矜持を尊重されない取り扱いをされているからな。
  • 式杜人の洞窟では、食糧生産に使われていた農民たちが引越しの最中。ここらへんの描写を考え合わせると、ウキョウがこれまでの式杜人と差配との蓄電筒の取引関係を変更したのか。あるいは式杜人が虹雅渓を見限ったか。
  • 9月16日追記:ええと上記、思い切り間違えてました。式杜人洞窟の農民たちは絶賛通常業務中でした。DVD5巻まで持ってるんだからちゃんと確認しろよな<自分。
  • ホノカさんがゴロベエ殿のことを訊ねてくれたのが地味に嬉しかったり。思い出してくれる人がいるうちは、人は死んでも死んではいないものよ。


 というわけで、今現在の状況整理。

  • 神無村:ひとまず野伏せりを撃退。収穫のときを迎える。
  • 周辺の農村:神無村の事情がウキョウの手の者によって流される。手立てさえあれば野伏せりは怖くない、という意識が芽ばえるか。
  • 虹雅渓:差配はアヤマロからウキョウへ。ウキョウの指示により侍狩りは終結。さらに彼の手により地下工場で働いていた侍たちが上層部へと解き放たれる。
  • 式杜人の洞窟:虹雅渓差配との関係に何がしかの変化が発生? 

 お侍たちの状況。

  • カンベエ:野伏せりの黒幕、商人対策およびリキチとホノカへの誓いを果たすために単身虹雅渓へ潜入。 
  • キュウゾウ:神無村を離れ、カンベエの後を追って虹雅渓へ? カンベエの仕事が終わるまでの期間限定で護衛をするつもりか。
  • シチロージ:神無村にて待機。カンベエより何かしら指示を受けている?
  • ヘイハチ:神無村にて待機。同じく何かしら指示を受けている?
  • キクチヨ:神無村にて待機。農民にはもう戻れぬようす。カツシロウとともに、サナエを救い出すべく独自路線で行動開始?
  • カツシロウ:神無村にて待機。キクチヨとともに独自の路線で行動開始か。

 人は集まり、また別れゆく。そして物語は未到の境地へ! 待て次回。

 ……ところでもう「七人の侍」や「荒野の七人」を観てもネタバレ的には影響ないのだよな……? 

*1:どこかの国の次期首相殿は素人を農村に下放しようと考えてるみたいだが、さすがに世間知らずのお坊ちゃんは考えることが違うと感服つかまつる。やはり壷売りの手下どもは駄目だ。