夕景

 今日の夕焼けは現実離れしてすさまじかった。入日のあたりはオレンジ色に輝き、そこから高空に向かってはだんだんと紫がかってゆき、そして雲は強烈な光でくっきりと影を刻まれていた。それらを菫色の大気が包み込み、一種冥府のような永遠性があたりを包んでいた。すべての存在を隔てている距離が無限小に縮まったように感じられ、同時に無限大に遠くに分かたれて手が届かないかのようだった。そんな中を歩いてゆくと、地の果てまでもゆけようかと思われた。
 いまわのきわに見る風景もこんなふうであればよい、と思わせる風景だった。