『雑兵物語』
の現代語訳が出たとのこと(「ざぼんの本のメモ」経由)。岩波文庫版(非戦闘員の戦場体験記「おあむ物語」「おきく物語」とカップリング)はとっくのとうに絶版になっているので、これが今一番手軽に入手できる版てことになるのか。
内容は、戦国時代の雑兵の皆さんがだべりながらいろいろと仕事上のTipsを開陳しあうというもの。「暑気あたり・寒気あたりを防ぐには朝晩に一粒の胡椒をかじるといい(<これ効きます)」とか、「いい道具を持ってると、パーツ取り目当てに味方(別の家中だけど)に殺されるからあぶない」とか、「反りのきつい刀はとっさにはひっかかって抜けないから意外に不便」等、戦さ場のお役立ち知識が満載。つうか、「今日の仕事をどうこなすか」だけを考えてるタフなおっさん兄さんらのだべりを読んでるだけで単純に楽しいです。知行とか扶持とか一国一城の主とか、そんなことには全然縁のない、ただ今日この日を生き延びて、できれば手柄を立てて恩賞にあずかろうとしている血なまぐささと汗に満ちた戦さ場の夜話。
江戸時代初期に、当時の若者言葉を模して(作者はええ歳のおっさんだから)書かれた本なので、原文でもけっこうさらっと読めます。四百年前ってのは意外にわれらと近い。面白いので皆読むとよいよ。
でもな、ひとつだけ云っておく。私も含めてサラリーマンが雑兵相当なんてことはありえない。とりあえず安定雇用で、定期収入のあるサラリーマンは悪くて下級武士クラスです。無理やり例えたいならば。あとこの物語で雑兵という階級が輝いているのは、戦国時代という、いくらでも仕事があった、発展の時代であったればこそです。それだって年取ればきついんだぜ……。
追記:
あ、これ1980年に講談社から出たものの再刊ですね。ちゃんと紹介文に書いてあるじゃあないですか。今気づいた。
まだはまぞうには登録されてないっぽい(amazonにはデータ入ってるんだが)ので、岩波文庫のデータを貼っておきます。図書館でどうぞ。
- 作者: 中村通夫,湯沢幸吉郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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今日(8/30)に作者名ではまぞうってみたらデータが見つかりました。なので貼っておきます。
- 作者: かもよしひさ
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- メディア: 単行本
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