SAMURAI7 第十九話「叛く!」

 世界はめぐり、世界が変わる。新たな支配者の下に新たな世界像が結ばれる。

  • リキチの回想のサナエさんは今のサナエのお方さまとは全然違う雰囲気だ。……今回を見ていると、村に戻ったところで、彼女は元に戻れるのかなあとも思う。んー、でも世の中複数の相手を同時に心に留め置くこともできる人もいるからなあ。彼女がそういうタイプであればいいんですけど。
  • 「胴田貫」は肥後国にいた刀鍛冶の一族で、刃の意匠は地味だが、田んぼで据え物斬りをしたときに、刃が骸を切り裂き、田の地面までやすやすと貫けたためにこの名がある。肥後正国とかが有名な人。転じて、実用一辺倒の刀をこうよぶ。
  • で、リキチが持ち出したふた振りの胴田貫のうち、柄が栗色のものはゴロベエ殿の形見の軍刀。ではもうひと振りの、柄が鼠色の軍刀は誰のものか。
  • 私が思うに、可能性はふたつ。ひとつめ。これはリキチの近い先祖が(たぶん雑兵として)大戦に参加していたのだと思います。その形見。ふたつめ。実は神無村は物語に出ないところで(かつてキクチヨが云ったように)落ち武者狩りをやっていて、そのときの戦利品。どっちだろ。どっちもありそうだ。
  • なんにせよ、鼠色はたぶん十五話でリキチが振り回していた刀。今また刃は人の手に握られる。男は女のためと信じて彼女をその手に取り返そうとするが、しかしいっぽう女はどうか。
  • あー、コマキク*1はなごむなー。まっこと熱い男でござる! 
  • 名もなき農民の願いは無下に断っても、「差配肝煎りの警護職」となると農村にも胸張って行くのか。人間もう少し誇り高く生きたいものよな。まあ貧すれば鈍するともいうし、彼らは彼らで人間的な振る舞いをしているのではあるのだが。

以下ネタバレにつき隠し。

  • 遺伝子検査の結果、ウキョウは天主さまの複製であると判明。しかしそうと判ったとたんにさっさと天主に成り代わる方策を考えたウキョウは末恐ろしいと思った。ていうか、実はここらあたりの展開はちょっと説明が不足かもしれんなと。この解釈でいいんだよね? それとももうとっくにそのことに気づいていたってことはありか?*2
  • 言問いの儀怖ええー。つか自分絶対ビビリで死ぬ。<面接超苦手。
  • 四十八人の位牌……! 仏教のしきたりがまだ残っているのか……! しかもなんか名前でなく番号が書いてあるし! 恐ろしいねどうも。
  • 天主さまは、ウキョウにスピーカーの音量いじられた時点で身の危険に気づくべきだと思いました。あのポッド、自走機構はあっても防御機構ないんだもの。あれはウキョウもどこらへんまでならいじっても気取られないか試みていたのだろうな。
  • ウキョウ凄いな。これほどまでに人の心をつかむすべに長けているとは、初登場時にはつゆ思いもしませんでしたよ。一応支配者としては、鼓腹撃壌な「パンとサーカス」タイプのご政道にするつもりらしい。しかしこれ相当の状況ハンドリング能力がないと巧くいかない政体ですよ。
  • 「世継ぎが決まるかどうか、それだけでしょう?」「でも、この子はどうなります?」……通常だと鏡の裏を削ったものを飲まされたりするんだけど。どうなるのだ。つかウキョウならもっと洗練されたやりかたをとるかな。
  • 天主さまの立場としては、侍のせいでこういう身体になったので、商道をもって戦さをのっとり、侍は生かさず殺さずで支配することで復讐する、というやり方。ポッドに入ったのが比較的若い(幼い?)ころで、だから成長してないのかもしれない。
  • サナエのお方さまを見舞う天主さまのシーン。天主さまもサナエのお方さまを、こどもの培養基としてだけでなく、それなりに愛情を持っていた、のだろうと思う。でも世継ぎがふたり同時に存在するということの暗黒面についてはもうちょっと気を回したほうがよいのではないか。おつむりの中の古の知識には、そういう方面のことは入っていなかったのか。
  • 天に二日なし、というわけで、天主さまはウキョウに弑され、ここにウキョウが新たな天主に。
  • しかし広間の群臣も、いつも伺候しているんだから、マイクのトリックくらい見破ってほしいものではあるな。

 今回アクションはまったくないけど非常に面白い回でした。さてウキョウの天下取りとはいったいいかなるものか。次回を待て。

*1:日本伝統のカップリング表記は「女・男」の順。「お夏清十郎」(好色五人女)とか「お軽勘平」(仮名手本忠臣蔵)とか。

*2:二十話観た限りでは、どうも血統が判明した瞬間に判断したみたいですね……おそろしい子!!