SAMURAI7 第二十話「着替える!」

 刻々とせまりくるカンベエの処刑。一方、都に潜入したキクチヨたちの前で、世界を動かしてきたしくみが明らかになる。

  • 仕事なき者に仕事を、糧のない者には糧を。と新たな天主は云う。世の中をもっと豊かにと。しかしそれはどのようなものか。全貌はいまだ見えぬ。
  • 「野伏せり“衆”」ということは、野伏せりは完全に都からのコントロールで動いていた集団だと。しかし小早川頼母タノモ殿は今まで都と蓄電筒のためにがんばってきたのに、天主さまが代わったらあからさまに邪険にされてお気の毒だな。まあ先代さまもお侍は生かさず殺さずちくちくと利用しようと思ってたわけですが。でも当代さまはお侍についてはなおタチの悪い計略をお持ちみたいだ。
  • さて、虹雅渓に戻ってきた未熟侍ズとキラコマ姉妹。……なんだけど、ここは前回からのつながりがよく判らない。都のそばまで行ったけれど、野立村の護衛に行った侍に会って、何らかのことを考えて虹雅渓に戻ってきた。同時に都も虹雅渓にやってきた……であってますかね?
  • サナエのお方さまの胎のこどもは、ショックで流れてしまった。一方、都に乗り込んできたウキョウのそばめ軍団とお方さまの侍女たちとの間でもコンフリクトが。寝台ごとモノのように移動させられるお方さまが哀れだ。なんだかんだ云って哀れな女人だと思うですよサナエさんは。一時はわが身を犠牲にして他の娘さんがたを守ろうとしていたんだし、幸せな未来があってほしいんですけど。ミヅキさんがんばってくれい。
  • さてはてこちらは囹圄のカンベエ。そこに最後の通達がやってくる。ところでひとたびかむろ衆として勤めたからには髭を伸ばした翁になっても「かむろ」なのか……。そういや平安時代の牛飼童も年取っても童としての扱いを受けていたと聞きおよぶ。今で云うと白髪のギャルソン、なんかもそういうものですかね。
  • ところで、お清めシーンで気づいたんですが、囹圄の床の文字に「焼肉定食」てのがあるんですが! カンベエ殿がかたびらを羽織る頭のあたりから左回りに(「戌」の字の下あたり)。なんじゃあそりゃー!(笑) ちなみにその右側には「○(大? 満?)願成就」てのもあるな。大願成就・焼肉定食……シュールだ。
  • しかして水が潤沢にあるにもかかわらず(髪から水を振り飛ばしているにもかかわらず)、カンベエ殿は小さなタライ半分くらいの水量でくるくると身をぬぐってしまったのではなかろうかという印象が私の脳裏を離れない。なんか私の中で、彼は貧乏性キャラのようです。
  • カンベエ殿の処刑を告げる電光掲示板、以前の勅使殺害の告知文は漢字かな混じりだったけど、今度は全部漢字文だ。で、この世界は下の名前はカタカナ表記だと思ってたんだけど、今回「勘兵衛」と表記されていたから、一応漢字表記もあるのね。非常に公的もしくはかしこまった場面でしか使わない、とかそういうスピーチレヴェルみたいのがあるのだろうか。
  • 「やはり、先生ひとりでは無理だったんだ!」……いやだからといって君がいてもどうにかなったとは思えないのですが。
  • 御勅使殺害の直接の下手人はゴーグル男(お懐かしい)だけど、ウキョウに殺害を依頼したのは都の大差配。もとはといえば宮廷の内紛だったわけだ。ただ、大差配自身は今日の日あるを見越して彼に依頼したというわけではなさそうだな。それを受けたのはウキョウの策であったにしろ。
  • マサムネの工房で、カンベエ殿を助け、女たちを救おうとはやるカツシロウとキクチヨ。それにしてもカツシロウは「士道不覚悟」とか「武士として一生の恥」とか、どっかで聞いたキャッチをそのまま云ってる感が強い。だから青侍なわけですが。キララ殿やキクチヨは、云ってることはまあそれぞれだけど、自分で噛み砕いた言葉を使っている気がする。
  • ウキョウの支配者としての最初のデモンストレーション、それが御勅使殺害および前天主刃傷下手人・島田カンベエの処刑。そして次は神無村だという。
  • ところで、カンベエ殿をいぢめるウキョウを見て、テッサイ殿が笑っていたのが不審。そういう人でしたっけか。
  • 「それ以上近寄ると、末代までの穢れを受けるがよいか!」……というわけで、式杜人の扱うエネルギーは核分裂みたいですね。前に禁足地で本丸の残骸が青白く光っていたのはチェレンコフ放射か。それとも核融合でも放射線出るんだっけ? 
  • 式杜人の防護服の中身はやっぱり地上人と違うんだろうか。とりあえず流動食が常食だから、顎は鍛えられてなくて細そうだ。
  • マロ様は御蔵番吟味方になったがためにキクチヨの怒りのとばっちりをくらってかわいそうだなー。
  • 「てめえらが遊んでいる間に、農民がどれだけ汗水たらして働いてるか、判ってんのか!!」……まあこれはよくある印象論なんだけど、いや商人は遊んでませんよ? 仕入れを考え、ロジスティクスを考え、売るための戦略を考え、売れたら再び仕入れを考える。そりゃ日の下で働いてはおりませんが、これは大した頭脳労働でしょう。まあ今の世の中でも、こういう抽象度の高い仕事、たとえば株のトレーダーなんかが「虚業」よばわりされてますが、でもこれは自分の知識では判らない、専門度の高い仕事を「胡散臭い」仕事とみなし、(自分の従事している)「正しい」仕事よりもおとしめて、満足を得ているだけだと思います。

 いかんマジになった。こいつぁ所詮はアニメの感想感想。

  • 脱線ついでですが、商業を「虚業」であるがゆえにおとしめるというドグマは、古くは孔夫子がのたまった、東洋では伝統的な代物なのです。まあ孔子様が沢山の弟子を引き連れて、就職もせず(できずに)にまっとうできたのは、弟子の一人・子貢(端木賜)が大商人で、金銭的な援助をしてくれていたからなのですが。
  • というわけで、今回マロ様により明らかになったこれまでの世界のしくみ。
  1. 農民が米を作る。
  2. 野伏せりが都からの指令を受けて農村を襲う。米と女を奪ってゆく。
  3. 野伏せりが米と女を都に届ける。(報酬として蓄電筒をもらう)
  4. 天主は女に播種する。米で式杜人から蓄電筒を買う。
  5. 式杜人は米を肥やしに謎の植物を育てる。
  6. 野伏せりに追われた農民たちは式杜人のもとで謎の植物の樹液を集める。
  7. 式杜人は樹液をすすって生き、蓄電筒を製造する。
  8. 2から7の繰り返し。
  • 農民むしられっぱなしなのか? 搾取だ! まあそれはともかく、つまりあれだ、蓄電筒がすべての元凶なのじゃなかろうか。つか、仮に商人が倒れても世界の構造は変わらないと思う。誰かが現在の商人の位置を占めてしまうだけでは?
  • あと、かつての大戦時には、侍が現在の商人の位置を占めてたのではなかろうか。
  • で、ウキョウの世界プランでは野伏せりと侍を相打ちにさせて、2から4の部分をなくし、その代わりにすすんで米を差し出させるような何事かをたくらんでいるようす。
  • 「顔を隠さねば、儂の首が斬れぬか」……うわカンベエ殿性格悪ー! 大策士! 刑吏の人怯えてるじゃないすか!(ほめてる) ちなみに刑吏が顔を覆うのは、ちゃんとした理由があるのだ。たしか、そのときだけ顔を隠すことにより名前のない存在になって、当局の意志そのものになり、その処刑=殺人をその個人より免責する、とみなされたからだったと思う。
  • でも時間稼ぎをするといったって、首と両手を枷にはめられた状態で、得物はかんざし一本。あんな状態から逆転できるのかー!?
  • というか、こういうときにあてにできそうなのは、カンベエ殿を追っかけてきたキュウゾウ殿くらいなんですが、彼は都の移動にちゃんと乗り遅れずにいるのか(予告見たら大丈夫ぽいですね)。
  • たぶん次回に未熟侍コンビ+キラコマ姉妹はカンベエ殿にがっつり叱られるんだろうなあ。

 ……というわけで以下次回。震えて待て!