SAMURAI7 第二十一話「たわけ!」

  • しょっぱなからウキョウが前回着ていた天主マントを脱いでますが、これ作画ミスなのかなあ。
  • カンベエ大脱出! この手順は
    • 首切り役人がびびっている
    • ようやっと刃を振り下ろす役人
    • カンベエかんざしで首枷の錠前を突き破る
    • 刃が顔の前に達する
    • カンベエ手錠の鎖部分をかざして刃をそらしついでに鎖を切断
    • 首枷を跳ね上げた勢いで役人の顔面に拳を叩き込み、刃を奪う、ですか。すげえ胆力だなあ。お侍ってのは怖いねえ!
  • ウキョウのメガホンは、あの世界らしくないっつうか、二十一世紀の今でもアスクルあたりでたやすく買えそうなデザインだ。もしかして懐古趣味みたいなもので、あれがかえって最新流行のデザインになってるのかもしれない。
  • ウキョウの善政アピールのためにすべての悪の張本人に仕立て上げられた先代様哀れ。いや視聴者は彼の悪行をつぶさに見る立場だったわけなので、客観的に見ても悪人だったとは思うんですが、戦さを終わらせ、戦後の社会のしくみを構築して安定させてきたわけだし、少なくとも都市に住む一般民衆から見たら名君の部類に入ったんじゃないのかと思う……よ。まこと死人に口無し。そしてたやすく釣られてしまう虹雅渓の皆様だ。
  • そこにタイミング悪く登場のカツシロウ。なんというかたやすくあしらわれてるなあ。
  • 「盾になってもらいます」……キララ殿怖いねえ! 彼女は生来の性分としてかなり肝が据わっているたぐいの人間のようなので、やっぱりカツシロウとは人間の種類が違うように思えてなりません。
  • 「これより先代お手付きの奥女中衆を解き放つ」……えええー。奥女中の皆にもとりあえず播種のこころみはしていたってことなのか? ええええー(肚の底からわきあがる不快感をこらえつつ)。あー、でも遺伝子の適性検査みたいなことだけかもしれないし! それにしてもええええ、だ。
  • 「カツシロウ、何故来たのだ」「……お力になりたかったのです」……うん、気持ちは判るが、よい結果を出せないならいくらがんばっても無駄というかかえってマイナスだ。それが戦さ場のみならず大人の世界というものです少年よ。
  • 奥御殿でのサナエのお方さまと皆の会話は、この物語始まって以来の解きほぐせない、整理のつかない感情の葛藤、みたいなのが非常に現れていておもしろいシーンでした。さらわれてきたけど天主を好きになった(心理学でみるとまあいろいろ思いつくんだけど、奥女中の皆を守る+自分の気持ちを守る*1ために天主に肯定的にかたむいたところに、こどもを宿して、天主に完全に愛情を抱くようになったのだろうな)サナエさんと、天主は結局悪とわりきっている奥女中衆と、さえぎるものをすべて斬り倒して状況を解決しようとしたがし遂げられず、ウキョウに体よくはぐらかされたお侍衆と。状況としては不完全燃焼なんですが、この状況がこれからどう転ぶのか。キララ殿の「つれて帰ります」宣言の吉左右はなんと出るのか。
  • ところで御複製、て分枝体のことなんでしょうか。みんな普通に「=やや」ということにしているので、よく判らないのですが。完全コピーなのか女性側の遺伝子も混じっている普通の赤ん坊なのかどっちだろう。
  • 天下掌握の総仕上げとして、ウキョウの御幸がはじまる。
  • 「戦さを知った農民は、ただの農民にはもう戻れない。僕はね、農村にいたから判るんだ。抱え込んだ不満を、戦さで解き放つすべを学んだ農民はねえ、都にはとっても危険だよ」……参考図書:『土一揆と城の戦国を行く (朝日選書)』あたり。いやほんと、暴力の扱い方を知った人間というのは、武士といわず農民といわず、まことにもってすさまじいものです。
  • アヤマロにおちのびることをすすめるテッサイと、かつての契約の有効性にしがみつくアヤマロ。商人のアヤマロは、いったん雇用の契約をしたものはいかなるときも有効性が保たれると信じ、いっぽう侍のテッサイは、契約よりも優先すべき信義があると信じ、今はウキョウに仕えているという理由で、アヤマロの護衛を断る。けれども同じ信義によって、アヤマロの逃亡を手助けする。ふたりとも、それぞれりっぱな商人と侍だわ。
  • あ、都の抜錨シーン、地上にキュウゾウ殿が! ちゃんと戻ってきてたのか! よかったよかった。まあ「島田ならなんとかできるだろう」と思って静観してたんだろうなあ。
  • 「姉さま!」「コマチ!」「ねーさまー!」……これ物語中でたびたびあったシークエンスだけど、なんかいいんだ。なごむんだ。
  • 「リキチさんも来てるの?」……彼女はリキチに再会することを心底おそれている。ゆらいでいる。
  • マサムネの工房経由で一行は蛍屋へ。
  • 「あんたお侍の上に、泥棒なんだね」「そのようだな」……なりふりかまわず勝ちにいくと、いろんな属性がついてくるなあ。面白い。
  • 貴族の服から農民の服へ。それを聞いたときにミズキさんたちが顔を曇らせたのは、やはりサナエさんにとっては農民に戻ることはもしかしたら破滅の道かもしれないと判っているから、なんだろうな。
  • さて一方、式杜人に化けて逃亡したアヤマロ様。走れたんだ……! しかしそんな彼に刺客が迫る。そこへ!
  • 「温情を謳いながら、すべて消すつもりか……――島田カンベエには手を出すな」……かつての雇用主を助けたキュウゾウ殿は、あいかわらずのキュウゾウっぷりを発揮。つかこの科白、キュウゾウ殿には珍しく公徳みたいなことに目を向けている科白なんですが、後半の部分は一体誰に向けたつもりなのか。
  • いちおう聞いているのはアヤマロ様・モヒカン・ゴーグルの三人なんですが、アヤマロ様はへたってるし、モヒカンはそうそうに斬られてしまったし、これはゴーグル(というか、物陰にいるだろうウキョウの手の者)に対しての牽制の科白、だったのだろうか。モヒカンを斬ったのもその一環で。
  • 「待って! 待ってたも、キュウゾウ!!」……そういやアヤマロ様はキュウゾウ殿が裏切ったこととか、ヒョーゴ殿が死んでしまったこととか知ってはるんかなあ。なんにも知らずにまだ自分の用心棒だと思っているんだろうか。それからヒョーゴ殿もどっかに控えてると思ってはるのかなあ。
  • あ、ここら辺の事情はとっくにテッサイが教えてくれてるに五百貫文。
  • そして蛍屋での対策会議。
  • 大人たち+キララ殿の議題は、「サナエさんの今後について」だけど、カツシロウのテーマは「なんで先生は無様をさらしたのか」。大人+キララ殿は、カンベエ殿が捕まったりしたけど、皆を逃がせて結果オーライとみなしているが、カツシロウひとりは、救出過程が美しくなかったことにこだわっている。
  • 「刀で斬れぬものがあったのだ」……あー、さしものカンベエ殿もこういうややこしめのシチュエイションは初体験だったのか。なんか彼に関しては酸いも甘いもひととおり経験済みの完璧超人というイメージがあったのだけれど。人間いくつになっても成長ということですな。

 煮詰まる会議に顔を出したキクチヨと、カツシロウを刀の峰ではたくカンベエ殿。次回、叱責編(たぶん)!

*1:あんまりの環境の激変を自分に納得させるためだと思う。だいたいこの世界は比較的前近代的な社会みたいなので、わりと状況がひどくても女たるもの適応するのが当たり前、みたいな態度で暮らしてきたのだろうとも思うし。まあこれは男もそうなんでしょうね。理不尽な状況にあらがうよりも、適応することが賞賛される社会。