SAMURAI7 第二十四話「契る!」

 農民でなくなった農民、侍でなくなった侍、ふたつの勢力がぶつかりあう。

  • 野伏せりに対抗する力をつけた神無村の村人たち。けれどもそれは、為政者の不興を招くものでしかない。
  • 「都がどれほどのものか、お前たち判っているのか」……うわあ吹くなあカツシロウさんよお、と思ったのですが、今のカツシロウは結果はどうあれ実際に都に乗り込んだ経験があるし、彼が身につけつつある侍の視点は、自分のしくじりから都の力加減を逆算することが(ある程度は)できる。そんな彼から見ると、たしかに村人は隙だらけなのだ。まあ云い方が悪いという気もいたしますが。つか偏差値45の人間が偏差値20の人間にあれこれ云ってる感があるのはまあ、なんつうかだ。人徳?
  • 戦さの予感におののく農民たち、はやるカツシロウにギサクは云う、「えらく刀に憑かれたもんだで」。今のカツシロウはおそらく、刀=暴力にほぼ完全に依存し、自己を預けきってしまっているということだと思う。まだ彼は刀を携えた英雄、人より頭抜けた何者かでありたがっているのだ。たぶん今の彼から刀を取り上げてしまうと、彼はへたへたになりますよ。
  • 都の格納庫では、機械侍の魂が抜かれてゆく。接続された脳がおさめられたポッド、というヴィジョンはなんだか懐かしい感じだ。
  • ところでどうでもいいけど、都は大戦時の一方の側の本丸型戦艦だった。大戦時の機械化侍はカンベエ側が雷電型、敵方が紅蜘蛛型と分かれていたはずなので、商人が大本営を都に改修する際に、格納庫も二つの型の整備ができるように、こまごまと改造されたのだろうな。こういうことを日々考えてわくわくしております。
  • 一方式杜人の洞窟を抜けた侍一行。立ち寄った村には、既に都が来ていた。天主の善たるを信じる村民と侍にキクチヨの怒りが。
  • しかしあれだ、野立村といいこの村(前回科白に出てきた、潮田村かな)といい、警護のお侍と村民はそれなりにうまくやっているようすですね。まあ野立村ではちょいと溝があるみたいでしたが。
  • ふたたび沙漠を行く一行。キララ殿の手で輝く水晶に目をやるカンベエ殿だが。
  • トゲマンジュウの群落で一時休憩。まあドリアンとラフレシアを合わせたようなものか。しかしドリアンて切る前からにおいを撒き散らしてましたっけ? そんなものを栽培していたキクチヨの村っていったい……。救荒作物だったみたいだが、それにしても。
  • あと、新しい味覚に嬉々として挑戦するヘイハチ殿と、あきらかに弱っているシチロージ殿。やっぱり旨いものを食べつけるのはよくないのじゃないかという気がするな。
  • 「におう」「だからトゲマンジュウだろ?」……キュウゾウ殿はおもしろい走り方をなさる。つか私はアニメの「横から見た走行シーン」が自然に見えたことってまずないんで、無駄に点が辛いのかもしれない。もしかしたら現実の人間もあんなふうに走っているのかもしれないが。
  • におったのはタノモ殿とその朋輩のなきがらだった。ところで残骸の中に目みたいなのがあるんですが、これは本当に目(生体風に作ってある視覚センサ)なのか、それともペイントなのか。
  • 皆がタノモ殿の遺体を検分している最中、キュウゾウ殿の動きが気にかかるんですが。におい嗅いでんの?
  • キクチヨが発見したのはタノモ殿の斬艦刀。天主に無残に殺された侍の刀が、天主に刃向かう侍を助けることになった。小早川タノモ殿、もって瞑すべし。
  • さて神無村。ゴロベエ殿のお墓に参るカツシロウ。しかしカツシロウがまずは神無村にやってきたのは、ゴロベエ殿云々よりも、結局戦さが発生しそうな場所がここ以外に思いつかなかったからではないかと思わんでもないな。ていうか、あの世界のほかの場所で、これほどの規模の戦さがある場所を探すのはもはやなかなか難しいと思う。
  • 「あの子はあの若侍さまさ追っかけて行ったと思うておったがの」……えええ! おばば様の脳内では、キララ殿はカツシロウに懸想していることになっていたのか。いや私は第二話からカンベエ殿に惚れていると思っていたのですが。つかカツシロウとの間にフラグなかったじゃないですか。ふつうキララカンベエだと思うだろう。……違うかなあ。
  • 斬艦刀の修復も成り、いよいよ都に乗り込むお侍衆。ところで式杜人のくれたトレーラーは「大八車」なんだな。
  • キクチヨの「戦さ場でくたばる」宣言。こりゃあコマチ坊には辛いわな。ていうかキクチヨは無神経だ。無神経というならおっさまも大概な気もするが。
  • 「こいつを預かっててくれ! これは俺様の侍の証だ!」……ああなんか不吉な予感がするのは、これは気のせい? 
  • 「おっちゃま、おらが大っきくなったら、おらの婿になるです」……あああさらになんか不吉な予感が。コマチキクチヨは今までも大層萌えだったのに。
  • それをほほえましげに見守るカン・シチ・ヘイと悲しげに見守るキララ殿。思えばカンベエキララとコマチキクチヨは、ポジとネガとの関係であるな。職業を背負っている者同士の忍ぶ恋(つか片思い)と未完成な者同士のいちゃいちゃカップル(思い切り両思い)。がんばれ女の子。超がんばれ。
  • 「おぬし、都へ行ったことは」「御前の供で、一度だけ」……背中を向けていてもちゃんと答えるキュウゾウ殿。それはそれとして、こないだカンベエ殿を追いかけていったときに、都に入ったんじゃなかったのか? つか昔行ったとしても、そのときは仕事中なんだから、艦の装備チェックしてる暇あったのかとか、大戦時の本丸の装備を知っているということは、じゃあキュウゾウ殿はカンベエ殿と同じ側で戦っていたのかとか。いろいろぐるぐる。まあこないだのことは黙ってようと思ったのかね。
  • 「主機関をいかにするか……」……この世界では「メインエンジン」はやっぱそういうのか。しかし「しゅきかん」と聞いたとたんに「主機関」と変換でき、なおかつ「ああ、『オプセー』か」と再変換してしまう、わが「星界の紋章」脳よ。いやあの世界の公用語は日本語ですが、発音自体はアーヴ語なみに変化しまくってるんじゃないかとは思う。あと撃沈させると土地が汚染されるということは、原子炉なの?
  • 主機関はヘイハチ殿が切り離すが、しかしてカンベエ殿の策はなし。
  • 「敵が見えにくい時代になったものですな」……私が「SAMURAI7」という作品が好きなのは、このアクチュアルな視点ですね。皆がいっさんに目標に向かって駆けられた時代は屈辱的な形で終わり、それでもかつての生き方を捨てられぬ者あり、己を枉げて時流につく者あり。どちらもできずにただ沈潜する者あり。けれど皆、己の過去と、かつて奉じた自らのおきてに縛られていることには変わりない。けれど時代は、その奉じる価値観は静かに移り変わってゆく。そういう端境期の時代の物語。二十一世紀初頭の現代日本の気分も、基本的にそういったものだと思う。ここはあとでまとめて語るかもしれない。しないかもしれない。
  • そして夜明けの沙漠を行く大八車。
  • 結局キララ殿は忍びとおすことに決めたんだな。女の子、がんばった!
  • さて神無村ではカツシロウが村の守りを固める。しかしけっこう働いてますよ今回の彼は。そこらへんは誉めてもいいと思う。
  • 「主砲が反射された模様! これはまさに侍でなければ、刀でなければありえぬことです!」……日本刀信仰キター! いやまあ直前に気だかをこめていたシーンがあるからいいんですが、太刀一振りで、主砲の口径のビームが防げるものなのか?
  • 機械化侍の一斉出撃。悲惨なシーンだけど、都の艙口が一斉に開いて出撃していくさまは燃える。だからこそ「お手!」がよりいっそうの悲惨を帯びるのですが。
  • そして、農民たちの防戦が始まる。
  • しかしカツシロウが階段五段飛ばしくらいで強くなってるな。というかここまでの強さになる描写がなかったからちょいと唐突。
  • さらに斬艦刀で都を追撃するお侍衆。操舵するシチロージ殿以外へさきに立ってますが、まあかつてのカンベエ殿が右翼に乗ってたことを考えると、バランス的にはこっちのほうが安定するんじゃないかと。ひらひらした人が三人もいて、たぶん前方全然見えてないけどな!

 戦さにおもむく者がいる。その帰りを待つ者、そして祈る者。決戦の日が沙漠にのぼる。