SAMURAI7 第二十三話「うそつき!」

 侍・野伏せり・農民。あらゆる身分を舌先三寸で操り新たな体制を打ち立てる天主。その手はついに神無村に及ぶ。

  • 蛍屋をあとにし、都との戦いに挑むお侍衆。
  • 「誓って云うが、余は誰の味方にも敵にもならぬぞえ。せっかく助かった命じゃ、ありがたく長生きさせてもらう」……式杜人もそうだったけど、金なり資源なりの力を持っていると、こういう独立不羈の心がわいてくるもののようだ。マロ様は今後差配職に返り咲くことができるのか。とりあえずキュウゾウ殿には見限られたので、まずは身辺警護を探さねばならないか。
  • ところで今の虹雅峡の差配はウキョウが兼任しているのだっけ? イギリス国王がどこかの爵位を兼任しているという話を呼んだことがあるんだが*1、まあつまりアーヴ帝国皇帝がアブリアル伯爵を兼ねているようなものか。
  • アヤマロに不振抜けきらぬヘイハチ殿を、カンベエ殿が立ち話しに誘ったそのころ、蛍屋内部では落ち込むリキチが。
  • 前回の大宣言から一転、割り切れなさに悶々としているリキチ。慰められても悪いほうへ悪いほうへ思考は傾くばかり。そこへミズキさんが! 「天主の畑」発言で、一気に畳み掛ける。ところで、このシーンは、シチロージ殿が話の輪からちょっと引いてますね。まあ彼は仮に都にひどい目に合わされたとしても、そういう運命の不条理に対抗できるだけの具体的な力を持ち合わせた人間なので、こういうときに積極的に発言してもちょいとよろしくない、と判断したのだろうな。
  • ところでシチロージ殿は、カンベエ殿と一緒にいるときは「副官人格」、蛍屋では「たいこもち人格」、戦さ場ではバーサーカーモード、という三つの人格をうまいこと使い分けているような気がする。使い分けが巧くいっているあたりが、彼の人格バランスと、もうひとつ、そんなふうになれた運の良さとのあらわれのように思うよ。
  • 揚陸艇? の上で足ぶらぶらさせているキクチヨに萌ゆる。
  • マサムネの餞別は汎用ボウガン。それを片手でらくらくと受け取るカンベエ殿。ちょっと受けた。片手か!
  • そして出立のときが迫る。
  • 切り火を切るユキノさんがかっこいいね。そのあとのやり取りも好き。そして「頑張れ、女の子!」! 頑張ったよなあ。
  • ミズキさんの同輩のふたり組みは、最後までどっちがコハルさんでチアキさんなのか判らなかった。設定資料集に載ってるかと思ったんだが……(ヒント:設定資料集に都の人たちは掲載されてません)。
  • 「だいじょうぶ、皆ついてるからね」……と云いつつこっそり涙をぬぐうユキノさん。全体的に明るいムードだったけど、この出立は、生きては帰れぬかもしれぬ戦さの始まりでもあるのだ。
  • そしてマロ様は蛍屋の風呂の釜焚きとして、労働者Mな人生を歩み始める。そういや虹雅峡の最上層にいた人が、最下層から出直すんですね。うまく差配職に返り咲けたら、これはものすごい一代記になるのでは?
  • 一方沙漠では、タノモ殿が傷ついた朋輩をかかえて、都に戻ってきた。タノモ殿偉いなあ、義侠の人だなあ。
  • 都の甲板上でゲートボールに興じる天主様。ゲートボールは老人むけスポーツというイメージがありますが、そのじつ頭脳プレーを要求するハードなスポーツなのだそうです(参考図書:須藤真澄『おさんぽ大王』)。ウキョウぽい? 
  • 「ああ! 怪我してる! いい気味だねー」……うわあ天主様最低だー。なんかこの場面は機械のお侍に感情移入してしまいますが、それというのも、ウキョウの幼少時のトラウマが、あまりちゃんと描写されていないのもあるかな、と思う。
  • 「御天主様はわれらに、村へ向かうようご下命なさいました! にもかかわらずこのような次第、下郎どもが嘘をついているのか、それとも、まこと御天主様より使命を賜ったのか! 明らかにしていただきたい!」……ウキョウの策に踊らされているとなかば気付いていながら、戦った牢人たちを「下郎」と呼ぶ、呼ばざるを得ないあたりがタノモ殿の折り目正しさ。昔はさぞ立派なお侍だったんだろうなーと悲しくなる。何で戦さは終わってしまったのかねえ。自分たちは完全に捨て石だったと判ってしまって、同胞のためにもようやくあるじに刃を振り下ろそうとするも、主砲の前に散ってしまうのも哀れだった。安らかに。
  • 御典医に魂を抜いてもらえば、文字通りの機械の侍になりまする」……これ具体的にどうしたんだろう。脳を物理的にいじったのか? それとも洗脳みたようなもん? 
  • さてまた出奔したカツシロウは、ゴロベエ殿の幻に諭される。幻=自分の潜在意識ってことならば、彼の心はいまだ弱いってことだと思うのですが、さて。
  • カンベエたちはみたび禁足地へ。ホノカ・ミズキ姉妹の再会。一行の数がだんだんと減ってゆく。
  • 「おっちゃま、式杜人の服、都に置いてきたですよ!」……いやそれ以前に、中の人たちが虹雅峡にほうられっぱなしです。
  • 「なあに、都から解き放たれる好機、見逃せん」……蓄電筒のおかげで自由を満喫しているかのような式杜人も、実は都に縛られていた。まあ野伏せり収奪システムの重要な要を受け持っていたのだから、そのぶん拘束も強かったといえるわけだし。
  • 「何者なんでしょうねえ、式杜人って」「侍だ」……あ、一瞬誰の科白かわからなかったけど、これキュウゾウ殿の科白じゃないか。あんたどこでそんなこと知ったんだ? ちなみに今回のお土産からしても、かれらは工兵とか輜重兵とかのお侍なんだと思います。
  • カツシロウが早亀を馳せさせてきたのは、神無村。しかしシノの家は焼け落ちていた。
  • 村には火炎放射兵を率いたゴーグルが。そこに乱入するカツシロウ。なんか陣羽織を着こんでますな。カツシロウ2.0。
  • かなりあっさりとゴーグル+手下を斬り伏せるカツシロウ。たしかに回想のころと比べて強くなってます。あとつぶてを使ったり、なりふり構わぬ戦い方を学んだ気が。いちおう戦さ場を経験した成果は出ているのだ。
  • ゴーグルのゴーグルの下には生身の目が! 正直驚いた。
  • そして屋根からあらわれる、弓矢を構えた農民たち。女の人たちも弓を構えてますね。キュウゾウ殿の教練の甲斐もあったというものだ。
  • しかし円陣を組んで矢を射ると、カツシロウも針鼠だよ! まあなんのかんのいってもお侍はよそ者、ということかもしれませんが。

以下ネタバレにつき。

  • 朝の光の中、明かされるヘイハチ殿の過去。
  • 「私はね、カンベエ殿と出会うまでは、人を斬ったことがありません。けれども人を殺したことはあります」……ああ元工兵だものな、地雷敷設とか化学戦とか人斬り以外にもいろいろあるよな、とか思ったんですが。自分の流した情報のせいで部隊全滅、それがトラウマに、という地味ーにリアルな過去話でした。こういうのは自分が直接手を下さなかった分、あとを引いてしまうのかもしれない。あと、これは告白したところで何らヘイハチ殿の救いになってないところがすごい。つうかこういう結構はやたらリアルで、そこらへんが私の好きなところなのですが。

分かれた道は再び出会うか。舞台は再び神無村へ!

*1:女王陛下のメイド探偵・ジェインシリーズだったかと思う。