ウルトラヴァイオレット

 もうそろそろ興行も終わる頃合いなので観てまいりました。
 ミラ・ジョヴォビッチ主演、カート・“ガン=カタ”・ウィマー監督のアクション映画……だけど、ガン=カタ映画かと問われると微妙。つかありていにいってランキングは「下の上」くらいだと思う。ミラ姐さんが好きなのと、画面の絵ヅラが好きなタイプだったのでその分点が甘いです。
 お話はかーなーりグダグダグダだけど、個人的にはなんか楽しい映画でした。1,800円にふさわしいかというと激しく疑問の腕組みですが。映画は絶対大画面! て人でなければDVD待つほうがいいと思うよ。


 「ファージ」とよぶ感染症によって人類が壊滅的な打撃をこうむったのちの未来。世界は旧来の人類と新種族となったファージのふたつの勢力に分割されて闘争状態にあった。ファージの殺し屋・ヴァイオレットは同胞より依頼を受けて、ファージを壊滅させるワクチンを支配省から奪うが、それはなんと人間のこどもだった。かつてこどもを殺されたヴァイオレットは、彼を護ろうとするが、それは同胞と人類、ふたつながらに敵に回す修羅の道であった……。

 以下つれづれな感想。ネタバレ+ちょいとクサし風味なので隠します。

  • この話いろいろと説明しなさすぎ。なんていうか、いったんお話ガーと作ってから、あと伏線の平仄とかノーチェックで映画に作り上げてしまった感が濃厚です。筋自体は、物語の原型的なパターンを踏襲しているので、基本的にこちらの脳内の物語ストックで補完対処できるんですが。
  • でも「ブラッド・シノワ」が何者だったのかは結局わからず。中国系のファージが別組織を作っているってことだったのか?
  • つか「ファージ」てヴァンパイアですね。暗視できるし怪力だし犬歯伸びてるし。作中でも何度か「ヴァンパイア」云われてたようだし。感染症としてのヴァンパイア……というと今ぱっと出てくるのがなぜか「トリニティ・ブラッド」なのがあれですが。
  • あと、ヴァンパイアが人間に情を移してしまってあれやこれやっていうのも今やお約束ですな。
  • 女の人が見ず知らずだったこどもを助けるために奮闘するって「グロリア」だなー(観たことないけど筋は知ってる<観なさいよ)と思ったら、パンフレットによるとオマージュなんだそうです。
  • アヴァン・タイトルのアメコミ絵が延々流れるところ、なんか好きだ。
  • 画面がなんとなく青みがかった、どことなく懐かしげな色合いで、そこにあるのもオールドファッションな独裁体制。「未来は常に懐かしい」っつーやつですね。「リベリオン」も懐かしげだったけど、こちらのほうが画面全体の雰囲気が柔らかい感じだったように思う。
  • 体制側が「クラリック」だったり「枢機卿」だったり、カート・ウィマーはキリスト教のダメな部分がお好きだな。
  • 空中元素固定装置キター! いやでも何の説明もなく(なかったよな?)しゃらっと空中から剣だの銃だの出すもんだから、一瞬頭がおかしくなったのかと思ったですよ。何かなんの予備知識もなしにスタンド能力篇以降のジョジョを初めて読んだ読者の心境もこんなんかなあと思った。
  • 使い捨て携帯電話、なんかいいですね。道端の印刷端末からべろーんと刷り出されてくるのを組み立てて使うの。この作品の中で一番「未来」を感じた。
  • ガン=カタというか殺陣は銃と剣との二本立て。あとスタッフに中国人がいるのでアクションが京劇風味。あれは様式としては面白いんだけど、アクションの予定調和感が、映画という表現形式に使っていいものかどうなのか。個人的には舞台演劇ならばOKなんですが。
  • 様式といえば今回も「標的を丸く囲んで発砲」描写があった気がいたします。危ないから真似したらあかんよ。
  • ……え、ヴァイオレットも寿命なくなってたの? 「リベリオン」より切ないオチだ。けどパンフレット読むまで気づかなかったのは秘密だ。