異邦の客

 公開中の「ストレンヂア―無皇刃譚」がものすごく面白かったですよ!

 架空の戦国時代の日本、明国の刺客に追われている少年・仔太郎は、ひょんなことから知り合った名無しの浪人者とともに旅をすることになる。追撃をかわしつつ旅を続ける二人だが、明国人は彼の旅の目的地である赤池の国にも手を伸ばしていたのだった……。

 知らない同士が「家族」になってゆく物語、人生において不遇だった男が最期に知己を得る物語、さらわれる人物が世界の存亡の鍵を握ったりしていない物語、そして何より、強い奴らがガシガシやりあう物語がお好きな方はぜひぜひどうぞ。ラストバトルとかほんとおなかいっぱいになるから!
 あ、それから動物が好きな人もどうぞ! 仔太郎とずっと暮らしてた飛丸という犬が出てくるのですが、なんつうか、忠義な犬のはふんッてしてる感じがすごいよく出てます。たぶん彼(オスだよ)の中では、仔太郎は弟的存在なんだなーっていうのがわかる。あと馬もいいよー。ちゃんとプロポーションがずんぐりしてるんだよー。

 それから、パンフ掲載のエッセーのライターさんが、人物紹介書いた人が頑張って立てていた男女カップルフラグ*1を力技でへし折るようなエッセーを書いていて吹いた。でも名作はそれ自身として存在しているのだから、わざわざ過去の名画を引き合いに出してほめる(いちおうほめてるのだと思う)必要はないのだぜ! と思いました。あと「七人の侍」での菊千代の行動は、勘兵衛にはもちろんだけど、久蔵への対抗心が行動原理の半分を支配していたと思います(いやエッセーで指摘されてなかったから……)。

*1:女性キャラがほとんどいないから、色恋関係が果てしなく希薄なのです。